事業再生のポイント

(Google Gimini にて生成)

 今回は、ショートな記事になります。先日、事業再生コンサルタントの講座を聴講に行きました。内容は、ある製造業の再生事例です。また、その2、3日前に、日本経済新聞社が主催する事業承継・M&Aに関するフォーラムも聴講させていただきました。今回の記事は、その聴講の内容を踏まえて、事業再生支援等の際のポイントについて、私なりにまとめさせてもらいました。よく、読むと、当たり前のような内容で、色々な書籍で弁護士の先生らが書いているような内容ですが、思うところを列挙してみました。

目次

業種が今後時流に乗っていけるかの見極め

 まず、事業再生にあたっては、業種自体の成長性を見極めること。どこまで、いつまで、事業継続を図るかにもよりますが、まずは、業界自体の先行きが見通せないようなら、それは撤退というシグナルが点滅していることです。ニッチな業界もあるかと思いますが、需要、顧客がこの先、見込めないようなら、事業転換か円滑な廃業という二択になるかと思います。
 ただ、体力的に余裕がない中小企業が事業転換を図るのは、現実的ではなく、オーナーのこれからの生活を考えた場合、事業資産の処分等を行い、円滑な廃業へ移ること、傷が浅いうちに市場から撤退するのが、ベターな選択なのだと思います。

経営者との向き合い方

 次に、事業承継、再生又は廃業の支援を進めることになった場合、経営者、オーナーのとの向き合い方です。
 この点は、前記の日本経済新聞社のフォーラムで、かって盛業していた某大手家具店の元社長の方が講演した内容を聞いて、あらためて感じたことです。この方は、創業者で実父でもある当時の会長と経営権を巡り、壮絶なプロキシーファイトを演じた方です。この壮絶な経営権争いは、当時、”お家騒動”とマスコミに報道され、世間の耳目を集めました。 
 その方は、当時、誰よりもその実父の考え方を理解し、わかっていたと思っていたそうです。いわゆる、以心伝心というところでしょうか。しかし、前述のプロキシーファイトについては、”父があそこまでやるとは思っていなかった”そうです。そして、今から思うと、最大の失敗は”わかっていると思っていた父の心情を見誤った”ということでした。
 確かに、この方にもその父親にもいわゆるプロキシーファイトをビジネスとするプロが参謀役として付いており、彼らに煽動された感も否めないですが、最終決定はその実父にあるので、この方の実父が家業(家具店)にかける思いが如何ほどであったか、この方の心が実父の心の奥深い、暗闇の中に包まれた深淵まで辿り着けなかったということでしょうか。
 この方は講演の冒頭、日本の企業の約9割は、ファミリー企業ということをおっしゃいました。それは、裏を返せば、実父のように自らの会社に対する深い思いを持つ経営者が存在するということをおっしゃりたかったのでしょうか?
 人により解釈は相違するかと思いますが、この話を聞いて、日本国内において、事業承継、事業再生、廃業等に関する支援などに関わりを持つときは、この経営者の会社への奥深い気持ち、執着を軽視してはいけないのだと、あらためて感じました。例えばこの先、これらの支援に携わった際、社長の会社への思いの深淵に仮に辿り着くことが来た場合、そこには、普段見る社長とは別人が佇んでいるかもしれません。 

事業再生と地域再生とはセットで考える

 次に、特に、地方において顕著である人口減少と地域経済の地盤沈下との関係です。前述の「時流」に乗っかっていけるかの見極めと同様、一企業だけが頑張っても抗えないのが、この人口減少と地域経済の地盤沈下による影響です。これは、事業再生を考えるとき、地域経済が衰退している中で今後もその傾向が進むことが明らかな場合は、一時的な延命は出来ても、中長期的な意味での再生は難しいということです。
 しかし、最近では、総務省における「ローカル10,000プロジェクト(地域経済循環創造事業交付金)」のように地域資源と資金を活かした地域密着型の新規事業を国と自治体、金融機関で支援する創業支援制度などがあるほか、地方自治体や企業によるAI向けデータセンターの誘致や整備が急ピッチで進められています。数年前には想像出来なかったインフラ整備の需要であり、国はAI時代を支える重要インフラと位置付け、地方への分散立地を後押ししています。
 このことは、地方にとっては、データセンター建設による好影響(人口増加、地域経済の活性化など)を期待でき、再生可否判断の大きな判断要素となり得ます。
 データセンターでなくても、大型物流センターの建設など、人口増加又は人の移動ポイントに繋がるインフラにより、地域経済の活性化、再生への途が開ける可能性もあり、ある意味、好機と言えます。
 このように、事業再生を考える際には、地域経済や人口動態の傾向も念頭に置いた支援・方策を考える必要があるのだと思います。

やっぱり、事業再生の成否の要因は、金融機関からの援助の有無がその太宗を占める

 次ですが、サブタイトルのとおりです。事業再生の場合、債務超過になっているため、その困窮会社は、当面の生き残りのための運転資金の確保が緊急かつ最大の急務となります。そのような時、それを援助をしてくれる最大の味方が金融機関です。事業再生コンサルタントの講座の中の事例でも、債務超過に陥ったある企業が当時約10行からの金融機関から借入れがあったところ、たまたま色々な好都合な諸条件が整った特殊な要因もありますが、付き合いの古い信用組合が他行の借入れ分を肩代わりし、それを契機に徐々に財務状況の改善が達成出来たということです。
 このようなケースがいつでもあるわけではないのですが、メインバンクとは平常時から常にコミュケーションを図り、決算書など財務諸表のデータを説明しておくなど、日頃からの信頼関係の構築が必要だと思います。財務状況を明らかにすることで、金融機関も経営状態の先行きの予見可能性が高まり、経営危機に至る前にそれを防ぎ、又は、困窮に陥った際の再生計画の作成にも日頃からの状況を知っているため、最適な計画へのアドバイスと資金融資の是非の判断について、何もしていないより、スムーズに進むのだと思います。

再生支援のポイント

 最後に、事業再生コンサルタントの講座で講師の先生があげた事業再生支援業務のポイントについて触れたいと思います。これらは、前述の金融機関からの援助を要請するにあたって、その説得材料となる再建策、再生案が、絵にかいた餅ではなく、如何に現実的なものであるかということを証明することにも密接に関連して来る内容になるかと思います。

再生への着眼点

  • 金融機関の再生援助に対する温度差、姿勢
  • 同一族企業から来る問題点の有無(ファミリー企業から来る問題点の有無)
  • 従業員の状況(モチベーション)
  • 社会保険・税金など公租公課の滞納状況
  • 取引先の状況
  • 事業の強み、コンピタンスは存在するか。
  • 改善計画書の提出にどのくらい時間がかかるか。

 個別の解説は割愛させていただきますが、社会保険料の滞納などで強制執行を受け、運転資金が枯渇、倒産に至るケースは多々あります。講師の先生のお話しでは、再生支援にあたっては、上記の事項を総合的に考慮したうえで、改善計画(再生計画)を策定行くことになるとのことでした。

何を重視するか

 再生にあたっては、見かけのBS改善ではなく、キャッシュフロー(営業キャッシュフロー)の改善が必要かと思います。
 その点、講師の先生のお話しでは、そのためには、単純に売上高を上げるのではなく、売上げに対する利益をどれだけ改善出来るかという点が重要だということでした。そして、利益を上げるには、取引先の見直し(仕入れ資材の検討)、事業の選択(不採算部門からの撤退、商材の検討、外注など)、そして、最終的には人員整理も必要ということでした。
 これらを実行したうえで、利益獲得の実績や顧客離れが起きていないかなどを見極め、事業の継続性が見込まれるかの判断が必要だということでした。
 なお、人員整理にあたっては、キーマンほか核となる中間層が一斉に離脱するリスクもあるそうです。会社としては、どうしても辞めて欲しくない従業員とは、人員整理を行う前に、十分なコミニュケーションを図り、繋ぎ止めをしておく必要があると共に、日頃から仕事が属人化しないよう、業務内容のマニュアル化及びベテランと若手とのコミニュケーションを図る場を会社が積極的にセッティングしていく必要があるかと思います。

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